The Four Continents　１９０３－１９０７

Sculptor:　Daniel Chester French

ワシントンDCへ旅をした方は、リンカーンメモリアルに鎮座するエイブラハム・リンカーンをご存知のはず。その彫刻を手掛けた彫刻家の作品は、ニューヨークにもいくつかあります。

マンハッタン島最南端に位置する、バッテリー公園とブロードウェイの交差点に聳え立つ、ボザール様式の建造物は、旧税関。現在はアメリカンインディアン博物館として無料で見学することができます。その玄関口に置かれた４つの美しい作品がフレンチの作品。

２０世紀の初め、西洋の人々がイメージしていた４つの大陸を表現しています。

アートの解釈は、観る人の感性によるとはいえ、初めてこの作品を見た時に、私は強い衝撃を受けました。

４人の女性を各大陸の権力の象徴としてみてみましょう。

正面向かって中央の左は、アメリカ大陸。

手に持つ松明は、産業を通して自由を手に入れたパイオニア達が、新天地を謳歌している理想的な様子。

右側は、ヨーロッパ大陸。

王政国家のヨーロッパらしく、王冠をかぶった権力は、地球儀の上に置かれた司法を表す書物に肘をかける。

アジア大陸は、すごいんです。屍（ドクロ）の上に権力が座り、その横に人民がひれ伏している。アジアには、人権なんて、まだ確立されていないと映ったのでしょう。

でも、アフリカ大陸は、もっとすごい。上半身裸のままで、権力が眠っています。

アートを見ながら、当時のアメリカとその人々について、思いを馳せてしまいました。